Profile

学生時代はメタンハイドレートの研究を行い、修士課程を修了。入構後はメタンハイドレートの開発に携わる。入構2年目に結婚・出産を経験。復職後は、石油天然ガス開発事業に技術職として携わり続け、石油開発会社の抱える課題解決のため、研究開発と貯留層評価に関する実験に力を注ぐ。国際学会でのスピーチ経験も多数。働きながら学べる制度を利用し、2019年には母校の博士後期課程を修了した。趣味は家族旅行。

現在の仕事

共同研究の推進・
貯留層評価から、
石油開発会社が抱える
課題を解決へ

JOGMECは、産業や経済・人間の文化的生活のために必要な、「資源」の獲得・安定供給に“縁の下の力持ち”として関わり、公共の利益に貢献する組織です。私が研究や技術支援の対象としている石油・天然ガスは、今もまだエネルギーの国内供給に占める比率が高い重要な資源と言えます。その中で、私が担う仕事の一つが、日本の石油開発会社が抱える課題を解決するための研究開発や情報収集です。毎年、JOGMECが主催する技術協議会で、複数の石油開発会社が抱える課題をヒアリング。ここでは、技術者としてのアドバイスや共同研究の推進、新プロジェクトの立ち上げなども行います。そして、もう一つの仕事がTRC(技術センター)で実施する貯留層評価などに関する実験です。実験計画の立案からデータ解析までを広く行っています。貯留層とは、地下や海底に石油やガスを溜めることができる岩石のことで、そこからいかに経済的かつ効率的に油やガスを採取・生産するかをTRCのラボで実験します。中東や東南アジアなど、実際に石油やガスを採取する現場の圧力や温度を模した環境を人工的に作り出し、この岩から、「どのような方法で、貯留層にある石油やガスが地下から何%を生産できるか」を検証したりします。これらの実験は、TRCにいるたくさんの仲間と協同で実施するので、大学の研究でさまざまな分野の人と協力しながら実験したことや、試行錯誤しながら進めていく研究のプロセスは、大学時代での経験が生かされていると言えるでしょう。

仕事のやりがい&印象に残るエピソード

効率的な作業フローの
仕組み化を前線から推進。
国際的に認められた成果から
世界との繋がりを実感

私が関わる貯留層評価業務は、石油が採掘され実際に産業活動で使用されるという大きな流れにおける一工程ですが、昨日までわからなかったことが今日わかるようになるなど、小さな発見と喜びを積み上げ、大きな成果に近づくという手応えがあります。また、一見すると日常生活にあまり関わりのない業務のようですが、周囲を見回したとき、石油・ガスが基になり成り立っているものは非常に多いため、ふとした瞬間にこれら全てのものの根幹に貢献できる自分の仕事に誇りを感じます。

印象に残っているのは、2013年頃のことです。TRCラボでは、人の経験と伝承に頼ってきた研究が多かったのですが、私の「一連の作業フローを数値化・体系化する」という提案が通り、ラボに関係するたくさんの人達と一緒に取り組みました。反対意見もありながら、たくさんの議論を重ね、周囲の理解を得ることで“効率化”という目標を達成できたことは、それまでの苦労も吹き飛ばしてしまうほど嬉しかったです。

また、これまで欧米で開催された学会に参加し、TRCで得られた成果発表を行ってきました。今も発表前は緊張の連続ですが、英語力やスピーチ力も当時から少しは向上したと思います。他にもJOGMECが関係する様々な産油国への出張を通じ、油ガス田の採掘現場を間近で見て、多種多様な人たちで構成されるプロジェクトチームで、異文化を肌で感じながら業務ができたことは貴重な経験でした。JOGMECでの仕事は、石油や天然ガスを介して世界とつながることができ、常に自分の視野を広げ成長できると感じています。

今後の目標

新技術の確立に向けて学び続け、
JOGMECを“世界の最先端”に

現在は、貯留層評価に関してAIなどのデジタル技術を活用できないかというテーマについて、オーストラリアや日本の研究機関と共同で研究を行っています。貯留層評価へのデジタル技術の応用、さらに生産段階で起こるエマルジョン障害(水と油が混じって乳化状になり、詰まる状態。生産量が低下するため安定操業の上で問題になる。)の克服も課題で、石油産業に関わる上流から下流企業との協力を得て研究を行っています。実験や数値シミュレーションなどの様々な検討を積極的に行い、生産障害を克服できる成果を出していけるように取り組んでいます。

また、私は業務と両立しながら大学で就学する機会をいただきました。大学院のオンライン授業を受け、ほぼ毎月ゼミにも出席して研究論文を書きあげ、2019年に大学院博士後期課程の3年間を修了しました。JOGMECには、働きながら学びを支援する制度が整備されていて、またそれを理解しサポートしてくれる上司や仲間がいる。そんな恵まれた環境に感謝しています。社会人になって大学へ通いながら得た知見は、今取り組んでいる課題解決に活かすことができています。

一方、TRCの技術力は高いものの、世界の最先端を走るメジャー企業に比べれば、まだ成長の余地が残されています。世界のスタンダードに肩を並べる意味でも、JOGMEC(TRC)が“この分野で世界一”と誇れる、新技術の確立に挑戦していきたいと思いますね。今は、従来の石油をはじめとする化石燃料などの資源に対する考えが大きく変わろうとしている変革期です。この変革期に、自分の知識を活かしてエネルギーの安定供給に貢献したいと思っています。


Message

JOGMECを選んだ理由

大学修士課程まで、「メタンハイドレート開発におけるシミュレータ開発」をテーマに研究していました。石油などと比べ燃焼時のCO2排出量が低い新エネルギーとして注目されたメタンハイドレートは、当時日本周辺で開発計画が検討されており、その開発チームの一つであるJOGMECで新エネルギーの開発をはじめ、石油などの資源開発に携わりたいと思い、技術系職種を志望しました。また、当時の指導教官から、独立行政法人として女性が働きやすいさまざまな制度が充実していることも教えられ、結婚・出産してからも長く働き続けられる環境だということも魅力に感じました。

未来の仲間への
メッセージ

JOGMECは、プロジェクトの計画から実行まで技術系と事務系が連携して業務するなど、チームプレーが必要な組織です。また、社会の変化に対応できる柔軟性と機敏性、コミュニケーション力が求められていると感じます。今は社会を取り巻く状況が大きく変化し、前例を踏襲できないことも多い中で、自分で道を切り開いていくことはとても大変だと思いますが、それらを通じて得た新たな経験や工夫しようという姿勢は、必ず今後の人生に生かされると思います。資源・エネルギー業界も“脱炭素化社会”へのまさに変革期にあるので、旺盛な好奇心と自分が貢献したいというハングリー精神を持つ方は、ぜひJOGMECで一緒に働きましょう。

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